ナトリウム欠乏量の推測(計算ツール)
考え方
体重(kg)×0.6は体液量(L)を意味します
そのため、体液量(L)×(140-血清Na濃度 mEq/L)はナトリウム欠乏量(mEq)を示します
ただし、一気に補正するのは身体に負担がかかるため、安全係数1/2~1/3を掛けます
塩化ナトリウム(NaCl)1 gはナトリウム(Na)17 mEqとほぼ等しいため17で割ることで必要な塩化ナトリウム量が推測できます
ただしこれは、体液量が正常時と現在で変化がないこと、つまり、純粋なNa欠乏を前提としています
また×0.6は体液量が60%であることを前提としています。高齢や女性では水分の割合が低下するため注意が必要です
ナトリウム欠乏については、こちらの記事もご参考ください(高ナトリウム・低ナトリウム血症の基準値・症状・原因/薬剤性)
実例
女性、70歳、50kg、血清ナトリウム濃度=130 mEq/L チアジド系利尿薬内服中
Na欠乏量=50×0.6×(140-130)=300 mEq 安全係数1/3なら100 mEq
塩化ナトリウムは100 mEq÷17≒6 g程度が投与量と概算できます
実際には、塩化ナトリウムは1.5~3g/日程度で開始することが多いです
そして、採血で血清ナトリウム濃度をフォローし、適宜調整されます
結局NaCl 1.5~3 g/日程度で投与するなら、概算する意味はあるのか?となりますが、欠乏量を推定しなければ、塩化ナトリウムの過量投与や過少投与のおそれがあるため、推定自体は必要です
免責事項
この記事はできるだけ一般化していますが、当てはまらないケースがある可能性は留意してください
患者個別で対応は異なりますので、医師・薬剤師が最終的な判断を行ってください
特に塩分制限がある場合は注意してください
コメント