筋肉量が少ないとクレアチニンによる腎機能評価は過大評価される
〇クレアチニンは、筋肉中のクレアチンの代謝物です。
そのため、筋肉量が著しく少ない場合にはクレアチニンが低値となるため、クレアチニンによる腎機能は見かけ上は、良くなります。
〇シスタチンCは、全身の有核細胞から産生されます。
そのため、シスタチンCは筋肉量の影響を受けづらいです。
つまり、筋肉量が著しく少ない場合、筋肉量の影響を受けるクレアチニンよりも、その影響を受けづらいシスタチンCによる腎機能評価が適していると考えます。
シスタチンCによるeGFR計算ツール
このツールを用いて、標準化eGFRcysおよび個別化eGFRcysを算出できます。
併せて、クレアチニンを用いた個別化eGFRcreやクレアチニンクリアランス(Ccr)も確認すると、筋肉量の影響が評価できると考えます。→腎機能と薬剤投与量の計算ツール
つまり、個別化eGFRcre≒個別化eGFRcysであれば、クレアチニンによる腎機能評価で問題なさそうです。
一方、個別化eGFRcre>個別化eGFRcysであれば、個別化eGFRcreでは腎機能を高く見積もってしまう可能性があるため、シスタチンCによる腎機能評価も必要と考えます。
クレアチニンクリアランスで汎用されるラウンドアップ法の問題点
筋肉量が著しく少ない場合で、クレアチニンが0.6未満の場合に0.6と補正するラウンドアップ法などの対処方法がありますが、正確性には賛否両論があります。
仮に筋肉量が正常だとすればクレアチニンが0.6となる根拠に乏しいためです。例えば実際には腎機能が正常である場合、ラウンドアップ法を用いることで腎機能が低く見積もられてしまう可能性を考えます。
まとめ
- 筋肉量が著しく少ない場合、筋肉量の影響を受けづらいシスタチンCによる腎機能評価が適していると考えられます。
- eGFRcre≒eGFRcysであれば、クレアチニンによる評価で十分と考えます。
- eGFRcre>eGFRcysであれば、シスタチンCによる評価も必要と考えます。
- クレアチニンおよびシスタチンCの両方を用いて、患者背景を考えて包括的に腎機能評価することが重要と考えます。
免責事項
患者個別で対応は異なりますので、医師や薬剤師など専門家による判断が必要となります。
この記事は筆者の意見が含まれており、鵜吞みにせず医療従事者ご自身で最終判断を行ってください。
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