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薬局での必要飲水量の推測/計算ツール

臨床計算機

必要飲水量の推測(計算ツール)

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考え方

水分バランス

in:食事からの水分摂取量+飲水量+代謝水

out:不感蒸泄+尿量(+便)

水分投与量

1日の水分投与量=尿量+不感蒸泄-代謝水 …上記のバランスから食事からの水分摂取量+飲水量でこれを補う必要があると分かります

1日の水分投与量=体重(kg)×25~35 mL/kg とする簡易式もあります

これらを組み合わせると

必要飲水量=体重(kg)×25~35 mL/kg-食事からの水分摂取量

となります

完全経腸栄養

完全経腸栄養の場合、投与するエネルギー量と必要水分量は等しいとする考え方もあります

1200 kcalの経腸栄養なら1200 mLが必要水分量で、”1200 mL-経腸栄養剤の水分含量”を別途投与すると考えます

ラコールNF配合経腸用半固形剤1200 kcal投与であれば水分は76%含まれるため1、水分含量は1200 kcal×0.76=912 mLになります

必要水分量はエネルギー量と等しい1200 mLと考えると、1200-912=288 mLの水分を別途投与する必要があります

例えば経腸栄養剤を投与後に1日3回50 mLの白湯でフラッシュしていれば150 mLの水分が投与されているため、288-150=138 mLの水分を別途投与する必要があります

提案例として、経腸栄養剤の投与前に1日3回50 mLの白湯を追加するとフラッシュ分との合計300 mLの水分の投与となるので、必要水分量が満たされます

食事からの水分摂取量

食事によって水分含量にばらつきがあるため、一概に決めることが難しいですが、下記のような算出方法があります

  1. 摂取エネルギー量×0.4 mL
  2. 800~1000 mLを基準と考え、高齢者など食事摂取量が少ない場合には比計算で減じる

なお、経腸栄養剤の場合は添付文書で水分含量そのものを確認してください

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020 年版)は参考になります

2000 kcal/日×0.4=800 mL程度を基準と考えると分かりやすいかもしれません

推定エネルギー必要量

出典:「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

実例

*仮想の症例です
BUN 25 mg/dL、CRE 1.2 mg/dL、HbA1c7 %、女性、70歳、50kg
主訴「1日の水分は500mLのペットボトル1本を飲みきらないくらい。

70歳なので、食事からの水分摂取量は減っている可能性が高いです。基準を2000 kcalとして上記表2から仮に1550 kcalとすると800 mL×1550/2000=620 mL(もしくは1550 kcal×0.4=620 mL)となります

また高齢なので1日の水分投与量は体重(kg)×25 mL/kgで考えてみます

必要飲水量=50 kg×25 mL/kg-620 mL=630 mLとなりますが、実際の水分摂取量は500 mL未満と不足しています

BUN/CRE比=20.8>20はこの脱水を反映している可能性が考えられます(参考:BUN/Cre比の基準値と脱水の判別について解説

薬の観点からは、脱水の何が問題になるでしょうか?

  1. 腎排泄型薬剤の蓄積
  2. メトホルミンによる乳酸アシドーシスのリスクの増加
  3. NSAIDsによる腎障害リスクの増加

などが挙げられます

そのため、水分摂取量が適正かどうかを薬剤師が推定することは重要と考えます

免責事項

この記事はできるだけ一般化していますが、当てはまらないケースがある可能性は留意してください

患者個別で対応は異なりますので、医師・薬剤師が最終的な判断を行ってください

特に水分制限がある場合は注意してください

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