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薬剤師向け:BUN/Cre比の基準値と脱水の判別について解説

検査値

基準値・臨床的意義

基準値 8~20 mg/dL BUN/Cre比 = 10~20(BUN÷CREで算出)

薬学管理において、BUN(尿素窒素)とCRE(クレアチニン)は腎機能を評価するための非常に重要なデータです。この記事では、BUNとCREを用いた腎機能評価の方法を具体的に解説します。

BUN/Cre比 > 20(または10の報告もある) は腎外性 まずこれを覚えます

CREの上昇などで腎障害が疑われた場合

  1. 腎臓そのものが障害を受けているか(腎実質性)
  2. 腎臓以外の影響で腎機能低下が低下しているか(腎外性)

上記を判別する必要があります

  1. BUN/CRE = 10~20の場合、CREの上昇は腎実質性の腎障害の可能性があります。※例:抗菌薬(アミノグリコシド系、ペニシリン系、ニューキノロン系)、シクロスポリン、リマチルなどによる薬剤性腎性腎障害、糸球体腎炎など
  2. BUN/CRE > 201)(または10の報告もある)の場合は、CREの上昇は腎外性の可能性があります。
    多くが可逆的で原因除去で改善する可能性があります(例:脱水)。さらに2つに分けられ、
    • 腎前性(腎臓より前の血流が少ない)※例:脱水、心不全、NSAIDsによる腎前性腎障害など
    • 尿素窒素(UN)産生の亢進。※例:消化管出血(例:アスピリンの副作用)、タンパク質過剰摂取、タンパク異化亢進など

*両者が混在している場合もあります。

薬局での対応例

*仮想の症例です。
BUN 25 mg/dL、CRE 1.2 mg/dL、HbA1c7 %、女性、70歳、50kg
主訴:「冷や汗、強い空腹感がときどきある。1日の水分は500mLのペットボトル1本を飲みきらないくらい。」
処方薬:ジャヌビア50mg 1日1錠 朝食後、アマリール0.5mg 1日1錠 朝食後

CREがわずかに上昇しており、BUN/CRE比は20.8と腎外性です。1日の水分摂取量はおおよそ体重(kg)×25~35 mL必要で、高齢のため50 kg×25 mL = 1250mL必要ですが、食事に含まれる水分量を600mLと仮定しても、1250-600=650 mL必要ですが、500mL以下しか摂取しておらず水分不足がみられます。
つまり、脱水による腎機能低下と考えられます。

また、クレアチニンクリアランス(Ccr)を計算すると34.43 mL/minで、腎排泄型のジャヌビアの過量投与になり、アマリールとの相乗効果で低血糖兆候(冷や汗、強い空腹感)が生じているおそれがあります。

添付文書より、50mgは一応投与可能ですが、Ccrが30に近いことと低血糖兆候があることからジャヌビア25mgに減量の疑義照会を考慮します。

Ccr1日の通常量1日の最大量
30 ≦ Ccr < 5025mg50mg
Ccr < 3012.5mg25mg
ジャヌビア添付文書より引用改変


一方、脱水が改善すればBUNおよびCREが正常化し、ジャヌビアの排泄遅延が改善する可能性もあります。疑義照会時に情報共有し、患者さんに水分摂取500mL+α(コップ1杯分)を促して次回採血が改善すればジャヌビアをもとに量に戻すことも検討します。

参考文献:医薬品による急性腎不全の診断チャート(厚生労働省)

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免責事項

*患者個別で対応は異なります。必ず医師や薬剤師など専門家の判断が必要です。

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