基準値・臨床的意義
目安の基準値3.5~4.9 mmol/L
Grade 1 | Grade 2 | Grade 3 | Grade 4 | |
低カリウム血症 | <LLN-3.0 mmol/Lで 症状がない | <LLN-3.0 mmol/Lで 症状がある; 治療を要する | <3.0-2.5 mmol/L; 入院を要する | <2.5 mmol/L; 生命を脅かす |
高カリウム血症 | >ULN-5.5 mmol/L | >5.5-6.0 mmol/L; 治療を要する | >6.0-7.0 mmol/L; 入院を要する | >7.0 mmol/L; 生命を脅かす |
目安ですがGrade 2以上では対応の検討が必要と考えます
つまり、目安ですが3 mmol/L未満・5.5 mmol/L以上で対応の検討が必要と考えます(しかしながら、心不全・高血圧など病態等により患者毎で目標値が異なることに留意)
カリウムは筋肉の収縮などに関わる電解質で、細胞外液よりも細胞内液に多く分布しています。
薬剤師が注意しなければならないのは禁忌の薬剤と、原因薬剤の判別です。
そのため、Kの血中濃度の異常の原因が薬剤性 or 他の原因か判別できるスキルも必要です。
低K血症
症状
低K血症の症状は、筋力低下、筋肉のけいれんやひきつり、不整脈などがあります。
代表的な原因
私見ですが、その原因を大別すると、①Kの摂取不足②Kの喪失③Kの細胞内へのシフトと解釈します。
下記にいくつか代表的な原因を挙げます。
- 飢餓:①Kの摂取不足
- 下痢、嘔吐:②Kの喪失
- 薬剤性
- 利尿薬:②Kの喪失
- 甘草/グリチルリチン:②Kの喪失
- ステロイド:②Kの喪失
- インスリン:③Kの細胞内へのシフト
- β刺激薬:③Kの細胞内へのシフト
- 炭酸水素ナトリウム:③Kの細胞内へシフト(アルカローシス→Na+/H+交換輸送体でH+が細胞外・Na+が細胞内へ→Na+/K+ATPaseでNa+が細胞外へ・K+が細胞内へ)
- ザイティガ(アビラテロン):②Kの喪失
- 原発性アルドステロン症:②Kの喪失
- クッシング症候群:②Kの喪失
低K血症が禁忌の代表的な薬剤(内服薬)
- チアジド系利尿薬
- チアジド系類似薬(ナトリックス/テナキシル(インダパミド)・バイカロン(メフルシド)・ノルモナール(トリパミド))
- ループ利尿薬
- 炭酸脱水素酵素阻害薬(ダイアモックス(アセタゾラミド))
- 甘草/グリチルリチン含有製剤(芍薬甘草湯、グリチロンなど)
- プルゼニド(センノシド)・アローゼン(センナ)・ヨーデル・セチロなど/大量投与を避ける
- アベロックス(モキシフロキサシン)
- フェアストン(トレミフェン)
なお、ジゴキシンは慎重投与
参考文献:添付文書検索(PMDA)よりカリウムが禁忌の薬剤を検索
高K血症
症状
高K血症の症状は、筋力低下、麻痺、不整脈などがあります。
代表的な原因
私見ですが、その原因を大別すると、①Kの過剰摂取②Kの排泄低下③Kの細胞外へのシフトと解釈します。
下記にいくつか代表的な原因を挙げます。
- 腎機能低下&野菜ジュースなどKの多い食品の過剰摂取:①Kの過剰摂取、②Kの排泄低下
- 腎不全:②Kの排泄低下
- 薬剤性
- ACE阻害薬/ARB:②Kの排泄低下
- アルドステロン受容体拮抗薬(アルダクトン、ケレンディア、セララ、ミネブロ、トリアムテレン):②Kの排泄低下
- β遮断薬:③Kの細胞外へのシフト
- NSAIDs:②Kの排泄低下
- ST合剤(バクタなど):②Kの排泄低下
- ジゴキシン:③Kの細胞外へのシフト
- カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン・タクロリムス):②Kの排泄低下
高K血症が禁忌の代表的な薬剤(内服薬)
- アルドステロン受容体拮抗薬(アルダクトン、ケレンディア、セララ、ミネブロ、トリアムテレン)
- カリウム製剤(アスパラカリウムなど)
- プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)/高度の高カリウム血症
*なお、ACE阻害薬/ARBは慎重投与
参考文献:添付文書検索(PMDA)よりカリウムが禁忌の薬剤を検索
イメージ図
免責事項
*すべての薬を網羅しているわけではありません。
*患者個別で対応は異なります。必ず医師や薬剤師など専門家の判断が必要です。
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