基準値・変動する要因
目安の基準値96~108 mmol/L
クロールは電気的に中性にしようと変動すると考えると分かりやすいです。
そのため、変動する要因は大きく考えると2つです。
- Na+の変動と同じ方向に変動する(Na+とCl–で電気的に中性を保つ)
- HCO3–の変動と逆方向に変動する(HCO3–とCl–で総陰イオン濃度を一定に保つ)
つまり、血清ナトリウムの変動もしくは酸塩基平衡異常です。
低クロール血症の原因と対処
原因
- 低ナトリウム血症…Na+が低下するため、その分のクロールが低下する
- 代謝性アルカローシス…HCO3–が上昇するため、その分のクロールが低下する
- 呼吸性アシドーシス(の代償的な代謝性アルカローシス)
対処
- 低ナトリウム血症がないか確認する必要があります
- 簡易的にNa-Cl差(>36)を算出すると代謝性アルカローシスを検知できる可能性があります(参考:酸塩基平衡の読み方を薬剤師がわかりやすく解説。計算機/Na-Cl差)
高クロール血症
原因
- 高ナトリウム血症…Na+が上昇するため、その分のクロールが上昇する
- アニオンギャップ正常性の代謝性アシドーシス(高クロール性アシドーシス)…HCO3–が低下するため、その分のクロールが上昇する
- 呼吸性アルカローシス(の代償的な代謝性アシドーシス)
※アニオンギャップが増加する代謝性アシドーシスでは、Cl–以外の陰イオンが増加する分、HCO3–が低下するために、Cl–は変化しないと考えられます
対処
- 高ナトリウム血症がないか確認する必要があります
- 簡易的にNa-Cl差(<36)を算出するとアニオンギャップ正常性の代謝性アルカローシス(高クロール性アシドーシス)を検知できる可能性があります(参考:酸塩基平衡の読み方を薬剤師がわかりやすく解説。計算機/Na-Cl差)
対応方法
それぞれの原因を特定できたら、対応方法を考えます
血清ナトリウム変動の原因等はこちらにまとめてあります:薬剤師向け:高ナトリウム・低ナトリウム血症の基準値・症状・原因/薬剤性
酸塩基平衡異常の原因等はこちらにまとめてあります:酸塩基平衡異常と薬学
免責事項
すべての原因を網羅できていない可能性があります
患者個別で対応は異なりますので、医師・薬剤師が最終的な判断を行ってください
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