基準値・臨床的意義
目安の基準値135~149 mmol/L
Grade 1 | Grade 2 | Grade 3 | Grade 4 | |
低ナトリウム血症 | <LLN-130 mmol/L | 125-129 mmol/Lで症状がない | 125-129 mmol/Lで症状がある; 120-124 mmol/Lで症状の有無は問わない | <120 mmol/L; 生命を脅かす |
高ナトリウム血症 | >ULN-150 mmol/L | >150-155 mmol/L; 治療を要する | >155-160 mmol/L; 入院を要する | >160 mmol/L; 生命を脅かす |
目安ですがGrade 2以上では対応の検討が必要と考えます
つまり、目安ですが130 mmol/L未満・150 mmol/L以上で対応の検討が必要と考えます
ナトリウムは体の水分や浸透圧を維持する電解質で、細胞内液よりも細胞外液に多く分布しています。
薬剤師が注意しなければならないのは禁忌の薬剤と、原因薬剤の判別です。
そのため、Naの血中濃度の異常の原因が薬剤性 or 他の原因か判別できるスキルも必要です。
低Na血症
症状
低Na血症の症状は、傾眠・錯乱等の神経症状などがあります。
代表的な原因
私見ですが、その原因を大別すると、①血中の水分が多い②Naの喪失③Naの摂取不足と解釈します。下記にいくつか代表的な原因を挙げます。
- SIADH(抗利尿ホルモン不適切分泌症候群):①血中の水分が多い
- 利尿薬:②Naの体からの喪失
- 嘔吐、下痢など:②Naの体からの喪失
- Na制限(過度に塩分を控えると起こる場合があります):③Naの摂取不足
低Na血症が禁忌の代表的な薬剤(内服薬)
- チアジド系利尿薬
- チアジド系類似薬(ナトリックス/テナキシル(インダパミド)・バイカロン(メフルシド)・ノルモナール(トリパミド))
- ループ利尿薬
- 炭酸脱水素酵素阻害薬(ダイアモックス(アセタゾラミド))
- ミニリンメルト(デスモプレシン)・デスモプレシン点鼻スプレー
参考文献:添付文書検索(PMDA)よりナトリウムが禁忌の薬剤を検索
薬剤性のSIADHにも注意
SIADHの代表的な原因薬剤:
- 抗うつ薬
- 抗精神病薬
- 抗てんかん薬
- 抗悪性腫瘍薬
高Na血症
症状
高Na血症の症状は、口渇や、錯乱等の神経症状などがあります。
代表的な原因
私見ですが、その原因を大別すると、①血中の水分が少ない②Naの排泄障害③Naの過剰摂取と解釈します。下記にいくつか代表的な原因を挙げます。
- 高張性脱水:①血中の水分が少ない
- 尿崩症:①血中の水分が少ない
- Na過剰投与:③Naの過剰摂取
- 原発性アルドステロン症:②Naの排泄障害
- クッシング症候群:②Naの排泄障害
高Na血症が禁忌の代表的な薬剤(内服薬)
- サムスカ(トルバプタン)
- 炭酸水素ナトリウム
- 炭酸水素ナトリウム配合の健胃薬(つくしA・M配合散など)
参考文献:添付文書検索(PMDA)よりナトリウムが禁忌の薬剤を検索
免責事項
*すべての薬を網羅しているわけではありません。
*患者個別で対応は異なります。必ず医師や薬剤師など専門家の判断が必要です。
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