基準値
目安の基準値はAST 30 U/L以下、ALT 40 U/L以下
肝障害の程度の把握
肝障害の程度を考えます。私は2つの方法を提案します。
CTCAE分類
Grade 1 | Grade 2 | Grade 3 | Grade 4 | |
AST | ベースラインが基準範囲内の場合>ULN-3.0×ULN; ベースラインが異常値の場合 1.5-3.0× ベースライン | ベースラインが基準範囲内の場合>3.0-5.0×ULN; ベースラインが異常値の場合>3.0-5.0×ベースライン | ベースラインが基準範囲内の場合>5.0-20.0×ULN; ベースラインが異常値の場合>5.0-20.0×ベースライン | ベースラインが基準範囲内の場合>20.0×ULN; ベースラインが異常値の場合>20.0×ベースライン |
ALT | ベースラインが基準範囲内の場合>ULN-3.0×ULN; ベースラインが異常値の場合 1.5-3.0×ベースライン | ベースラインが基準範囲内の場合>3.0-5.0×ULN; ベースラインが異常値 の場合>3.0-5.0× ベースライン | ベースラインが基準範囲内の場合>5.0-20.0×ULN; ベースラインが異常値の場合>5.0-20.0×ベースライン | ベースラインが基準範囲内の場合>20.0×ULN; ベースラインが異常値の場合>20.0×ベースライン |
Child-Pugh 分類
1点 | 2点 | 3点 | |
脳症 | 無し | Grade 1-2 軽度 | Grade 2-3 時々昏睡 |
腹水 | 無し | 少量 利尿剤の効果あり | 中等量 治療抵抗性 |
総ビリルビン(mg/dL) | 2未満 | 2-3 | 3超え |
アルブミン(g/dL) | 3.5超え | 2.8-3.5 | 2.8未満 |
PT(%) or PT-INR | 70超え 1.7未満 | 40-70 1.7-2.3 | 40未満 2.3超え |
Grade A(軽度) | 5-6点 | 代償性 |
Grade B(中等度) | 7-9点 | 非代償性 |
Grade C(高度) | 10-15点 | 非代償性 |
薬局での対応例
禁忌や副作用に該当しないかチェックします
添付文書で禁忌に肝障害(ここで中等度はCTCAE Grade 2 or Child-Pugh B、重度はCTCAE Grade 3 or Child-Pugh Cと考えられます)の記載がないかを確認します
副作用に肝機能障害の記載がないかを確認します
※例:イレッサの添付文書に”重度の肝機能検査値変動が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと”と記載。これはCTCAE Grade 3相当と考えます。
必要に応じて、疑義照会で中止や代替薬の提案を行います。
抗がん剤では開始基準や休薬基準が規定されることが多いため確認ください。
※例:エスワン(施設基準の2.5倍以上)[詳細は必ず適正使用ガイドを参照]や
ゼローダ(臨床試験での選択基準:施設基準の2.5倍以上(肝転移では5倍以上)/投与開始基準:100 U/L以下(肝転移では200 U/L以下))[詳細は必ず適正使用ガイドを参照]など
免責事項
患者個別で対応は異なります。必ず医師や薬剤師など専門家の判断が必要です。
肝障害の重症度分類はあくまで一例です。全ての症例に当てはまるわけではなく総合的な判断が必要です。
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