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エリスロマイシンによる下痢:薬剤師はどう対処する?

作用機序

エリスロマイシンによる下痢は、腸内細菌叢の変化と腸管蠕動運動の2つが主な原因です。特に、エリスロマイシンなどのマクロライド系の抗生物質は、腸管蠕動運動に直接的な影響を与えるため、下痢や嘔吐の症状を引き起こす1)ことが知られています。

エリスロマイシンとは?

エリスロマイシンは、抗生物質の一つで、細菌感染症の治療やマクロライド少量長期療法などで使用されます。しかし、その使用に伴い、腸内細菌叢の変化が起こり、下痢のリスクが高まることがあります。また、腸管蠕動運動を増加させる報告1)があります。

Erythromycin

エリスロマイシンと下痢のメカニズム

エリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質が下痢を引き起こすメカニズムは、モチリン受容体と呼ばれる特定の受容体を介して行われます。モチリン受容体は、腸管蠕動運動を調節するための重要な役割を果たします。

  1. 腸管蠕動運動の刺激: エリスロマイシンは、腸管内のモチリン受容体を刺激することによって、腸管蠕動運動を増加させます1)
  2. 腸内細菌叢の変化: さらに、エリスロマイシンは腸内細菌叢にも変化をもたらす可能性があります。腸内細菌叢のバランスが崩れると下痢が発生しやすくなります
  3. 下痢と嘔吐: 腸管蠕動運動の過度の刺激は、腸管内の食べ物や水分がが十分に吸収されないまま、急速に排泄されることにつながります。その結果、下痢や嘔吐が発生します。

対処法の考察

エリスロマイシンにより、下痢や嘔吐が生じる可能性があり、以下の対処法を考えます:

  1. 整腸剤などのプロバイオティクスの摂取の提案: 抗生物質を使用時は、プロバイオティクスを併用することで、腸内細菌叢のバランスを維持するのに役立つかもしれません。抗生剤による下痢の既往を聴取したとき、整腸剤の使用の提案を考慮しても良いでしょう
  2. 常用している下剤の休薬の提案: 下剤を常用していると、相乗効果で腸管蠕動運動が非常に亢進する可能性が考えられます。エリスロマイシン服用中に下痢が生じた場合、常用する下剤のスキップを提案しても良いでしょう。
  3. 脱水を防ぐ: 下痢が発生した場合、水分補給を怠らないようにしましょう。脱水を防ぐために、水分やミネラルの摂取が重要です。ただし、水分やミネラルの制限されている場合があり注意が必要です。例えば、心不全では水分制限が医師より指示されている場合があります。

エリスロマイシンによる下痢は、腸内細菌叢の変化だけでなく、腸管蠕動運動の増加による要因もあります。これらを加味して、適切な対処法を考えることが重要です。

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免責事項

患者個別で対応は異なります。医師や薬剤師の判断が必要です。

参考文献

1) Omura S, Tsuzuki K, Sunazuka T, Marui S, Toyoda H, Inatomi N, Itoh Z. Macrolides with gastrointestinal motor stimulating activity. J Med Chem. 1987 Nov;30(11):1941-3. doi: 10.1021/jm00394a001. PMID: 3669001.

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