基準値・臨床的意義
世界保健機構では男性:13 g/dL以下、女性:12 g/dL以下で貧血と判断されます。
Grade 1 | Grade 2 | Grade 3 | Gade 4 | |
貧血(Hb) | ヘモグロビン<LLN-10.0 g/dL | ヘモグロビン<10.0-8.0 g/dL | ヘモグロビン<8.0g/dL; 輸血を要する | 生命を脅かす; 緊急処置を要する |
Hbは赤血球に含まれる赤い色素タンパク質です。一般的には、貧血の指標として用いられます。
症状が出るのは個人差が大きく根拠が見つけられませんでしたが、おおよそHbが7~8を下回ると息切れ・めまいなどの症状が現れるようです。
私の経験上もHb が8~9程度では症状がないとおっしゃる患者さんに遭遇することがあります。
Hbが10 g/dLを下回ると、医師により鉄剤などによる治療が考慮されるようです。フェリチンなどの原因が探索され総合的な判断で治療が決定されるようです。
原因と薬局での対応例
薬剤性では骨髄抑制や汎血球減少などが原因としてあげられます。ここでは抗がん剤による骨髄抑制に焦点を当てます。
抗がん剤では、投与可能開始基準にHbが規定されていることがあります(例:エスワン単独投与ではHb 9 g/dL以上、8~9未満は投与延期が望ましいものの慎重投与、適応症により基準が異なるため都度適正使用ガイドを確認することを推奨します)。
そのため、Hb8未満の患者さんにエスワンが処方された場合、疑義照会を検討したほうがよいでしょう。ゼローダに関しても適応症やB法・C法などにより基準が異なるため都度適正使用ガイドを確認することを推奨します。
なお、赤血球の寿命が約120と長いため、抗がん剤による貧血の発現時期は、数週間~数ヶ月後とかなり遅いです。
また、抗がん剤による貧血では、造血機能が抑制されるため、医師の判断に基づいて鉄剤ではなく輸血が治療として選択されることがあります。
輸血のトリガー値は7~8 g/dLとされています(「血液製剤の使用指針」-厚生労働省)。
免責事項
*患者個別で対応は異なります。必ず医師や薬剤師などの専門家の判断が必要です。
コメント